今の時代を生き抜く組織、それは多様性を持っている組織
めまぐるしく変わる時代に、もっとも最適な組織はどのような組織だろうか。今日正しくても、来月には正しいとは言えないかもしれない。どのようにして会社組織が、環境に適合していけばいいのか、考えていきましょう。
結論:多様な環境に適応するためには、それは多様性のある組織しか適応できない。
(必要多様性の法則)
1.必要多様性の法則
環境変化に適応できなければ、時代から取り残されてしまうことはわかっているが、今までの考え方を変えるのは容易ではない。人は簡単に変われない。それが現実です。これを踏まえて組織を考えていかなければいけない。
企業は、その時代のニーズに合った人材を採用したいと考えます。しかし、ここに落とし穴ある。確かに時代の要望に応えられる人材は、その時代に適合できます。だが、時代が変わったとき、その時代にしか適合できない人材ばかりだとしたら、その組織は一体どうなるのか。
時代 A ・・・ 人材Aさん、Bさん、Cさんは時代Aに適合できる・・・組織は適合
↓
時代 B ・・・ 人材Aさん、Bさん、Cさんは不適合・・・組織は不適合
↓
時代 C ・・・ 人材Aさん、Bさん、Cさんは不適合・・・組織は不適合
しかし、さまざまな価値観や人と違った物の見方が出来る人材が組織の中にいれば
時代 A ・・・ 人材Aさんは時代Aに適合できる。人材Bさん、Cさんは不適合・・・組織は適合
↓
時代 B ・・・ 人材Bさんは時代Bに適合できる。人材Aさん、Cさんは不適合・・・組織は適合
↓
時代 C ・・・ 人材Cさんは時代Cに適合できる。人材Aさん、Bさんは不適合・・・組織は適合
必要多様性の法則(アシュビーの法則※)
複雑多様な環境に対応するには、それに対応する組織も同じ程度の多様性を持っていなければならない、という法則。
※)ウィリアム・ロス・アシュビー(1903-1972)は、サイバネティクスとシステム理論の分野におけるイギリスのパイオニアである。彼は、必要多様性の法則、自己組織化の原理、知能の増幅、良いレギュレーターの定理、自動的に安定するホメオスタットの構築、そして著書『脳のためのデザイン』(1952年)と『サイバネティクス入門』(1956年)でよく知られている。
企業は多様性を嫌う
組織が多様であればあるほど、時代が変わってもその時代に適応できる確率が高くなる。時代の変化が激しいなか、組織の在り方を見直す時期となった。より多様性のある組織づくりにするため、価値観の多様性を受け入れる組織にすれば自ずと適応力は高まっていく。
しかし、企業は多様性を嫌います。価値観の多様性は、組織の調和を乱す要因となるからです。多様であればあるほど、組織としてのまとまりある行動をしにくくしてしまいます。日本は組織の協調を重んじる傾向にあります。協調性が何よりも重要としています。その結果、多様性が失われ環境変化に弱い組織となってしまった。もはや、時代のニーズをつかむことすらできない。とても軟弱な組織になってしまった。
近年、ダイバーシティということを言われるようになってきました。市場の多様なニーズに応えるため、企業側も多様な人材を生かして能力を発揮させようとしています。画一化する組織を見直す動きが出てきています。アメリカでは、1990年代から急速に受け入れられた考え方です。
1960年代から1970年代に、環境適応理論(コンティンジェンシー理論)が流行った時期がありました。しかし、絶えず変化する環境に適合することが難しく、組織のコントロールができなかった。その反省を踏まえて、今日では組織の多様性を重視する考え方に変わっていった。
(コンティンジェンシー理論の問題点)
コンティンジェンシー理論は、一定の環境の下で有効な組織のあり方を追求することに着目した理論のため「環境の変化」に着目していません。そのため、急激に変わる環境の変化に対して、どのようにして新しい環境に組織を適応させるか明確にされていない。
多様性の問題点 ~サラダボウル~
サラダボウルは、いろんな野菜が入っているように見えるけど、それは交じり合っていない。単にうつわに盛り付けられているだけのこと。これでは、多様性にはならない。そこで、今日言われているのが、メルティング・ポットと言う考え方です。メルティング・ポットとは、溶解して溶け合うという意味です。新しい組織文化や価値観が形成されなければ、真の意味での多様性とはならない。新しい組織文化を作り出すということは、今までのルールや価値基準を見直されなければならない。場合によっては、壊すことが必要になるかもしれない。今まで恩恵を受けていた社員にとって、変えたくないと思うのも当然なことです。
2.なぜ時代遅れの組織になってしまうのか
会社が環境適応できない最大の要因は、現状維持を好むから。環境が変化しているにもかかわらず、今まで通りのことをし続ける。上司や会社の幹部は、新しいことにチャレンジすることはリスクを伴うので、自らその地位を脅かすことはしない。だから大胆な改革ができず、会社は時代遅れの組織になってしまう。
会社人間に、クリエイティブさを求めてはいけない。クリエイティブさとは、世間の常識や価値観をくつがえすもの。会社は劇的な変化を嫌う組織なので、いいアイデアを出しても受け入れてはくれないもの。現状を少し変えるくらいがちょうどいい。ただ、時代の変化が激しいなか、これでは生き残れない。
昭和の時代は、とっくに終わっている。強者のみが生き残る時代ではない。これからは、環境変化に柔軟に対応できる企業だけが生き残る。時代の変化は、好むと好まざるとにかかわらず起きていく。この変化は、誰にも止められない。だからこそ、古い価値観をすて新しい価値観を受け入れていくことが必要となる。にもかかわらず、いまだに昭和の価値観を引きずっている人たちが、社内には大勢いる。時代に逆らうより、時代の波に乗った方がはるかにラクです。しかし、人は変化を嫌います。
3.成功する人の特徴
・失敗の過程を大切にし、自分が成長していると感じている。
・まわりの状況にふりまわされることなく、自分の価値基準によって判断する。
リスクのないビジネスは存在しない。必ずリスクはあるし、人は失敗する。成功する人は失敗をしても次のステップと捉え、飛躍できるチャンスと考える。だから、失敗しても成功するまで何度でも挑戦し続ける。チャレンジした回数が、多ければ多いいほど成功する確率が高くなるからです。したがって、成功者の多くは、人よりも多くチャレンジしている。
成功する人は、ブレない価値基準が存在する。状況に応じて的確に判断するためには、自分自身で価値基準を持っていなければならない。この基準によって良し悪しを決めているので、判断基準が曖昧だったりするといい結果が得られない。ビジネスには、明確な答えが存在しない。そのため、ブレない価値基準がより一層重要となる。
4.行動は早すぎるタイミングがいい
すぐに行動しないと、ネガティブなことを考える時間だけが増えてくる。失敗したらどうしよう、周りの人の目が気になる、といったネガティブ思考が湧いてくる。そうなってくるとストレスが増える。最悪の事態ばかり考え始め、何もできなくなってしまう。そうならないためにも、早く行動する。行動してみて上手くいかなかったら、そのとき考えるくらいがちょうどいい。
失敗したことを馬鹿にする人や相手を否定することしか考えない人は、ビジネスで成功しない。このような人は無視するのがいい。関わらないこと。リスクのないビジネスは存在しないし、またビジネスに正解はない。失敗するのは当然だし試行錯誤の中から新しいことを発見し、成功へつなげていくことができる人だけが勝ち組となる。そのことを理解しない人と一緒に仕事はしないこと。
(参考)なぜ働きアリの中に怠け者が存在するのか
怠け者のアリがいる巣から、働き者のアリを除去してみると、今まで怠けていたアリたちが働き者に変わり、一生懸命働き出す。この怠け者のアリたちは、不測の事態が発生したときに対応する予備軍らしいといえます。もし、すべてのアリたちが100%のパフォーマンスで働いていたら、不測の事態が生じたときに対応できずアリの巣は危機的な状況におちいってしまいます。だから、怠け者のありが存在するように遺伝的にプログラミングされているようです。その割合は、2:6:2です。「良く働くあり2割」、「平均的なアリ6割」、「怠け者のアリ2割」で構成される。
まとめ
今の時代は、変化が急激に起きます。今していることが1ヶ月後も正しいとは言えない。もしかすると、1週間後にそれが起きるかもしれません。このように環境の変化が激しいときは、画一的な物の見方ではあっという間に組織は対応できなくなってしまいます。時代に変化に適応するためには、組織の多様性は必要不可欠です。これが、今の時代を生き抜く組織です。
会社組織が環境適応できない理由は、現状維持を好むから。失敗することは悪い事と考え、リスクをとってチャレンジする人がいない。当然だがリスクのないビジネスなど存在しない。目まぐるしく変わっていく時代に安定志向では、組織が陳腐化する。
成功する人は、失敗は自分が成長できる機会と捉え行動する。また、ブレない価値基準も持っている。周りに流されず、自ら判断する強い意志が必要となる。試行錯誤の中から成功へのヒントを発見しビジネスを作り上げていく。