中小企業 これが真実だ約7割赤字、中小企業白書から読み解く衝撃の事実

 
 
中小企業白書を読んでわかったこと。それは、中小企業は永遠に存続しない。つぶれるもの。いつ仕事がなくなってもおかしくない。一瞬にして私たちの生活が、貧困化してしまう。中小企業で働く怖さがここにある。
 
 

POINT
◆中小企業の約7割は赤字
◆中小企業の営業利益114万円(中央値)
◆中小企業の営業利益マイナス400万円~プラス400万円が全体の52%
 
 
 

 
【目次】
1.中小企業の厳しい現実
2.会社の寿命 23.3年
3.ゾンビ企業が存在する理由
 

 
 
 

1. 中小企業の厳しい現実

 
中小企業の約7割は赤字
 

国税庁によると、中小企業の66.6%(181万977社)が赤字だそうです。なかには万年赤字で厳しい経営を強いられている企業もたくさんあります。中小企業白書(2019年版)によると営業利益が114万円(中央値)という調査結果がでています。かろうじて黒字のようだが、「実際には赤字だけど、融資が下りないので決算書を黒字に見せかけている」と見た方がいいかもしれません。万年赤字だが、決算書を黒字にしてリスケによる追加融資でなんとか事業を継続している、いわゆるゾンビ企業が多い。さらに、営業利益マイナス400万円~プラス400万円の企業が、全体の52%と半分以上を占めている。
 
 
本来なら倒産・廃業をし、企業の新陳代謝を促進させなければいけない。経営効率の悪い企業は淘汰されることが経済の基本原則なのだが、このような企業が生き残ってしまっている。赤字企業がここまで膨れ上がると、話はそう簡単ではない。多くの人の雇用を維持しているため、もし倒産させてしまったら失業者が増え社会不安が起きてしまう。日本政府はそれだけは避けたい。と言ってみても事業再生のスキームなどはない。どうにもならない現状がある。白書でここまで思い切ったデータを公にするには、日本の将来に危機感を抱いていることに他ならない。このままだと日本経済に深刻なダメージを与えてしまう。僕らの未来は、本当にヤバいことになる。
 
 

 
出典:東京商工リサーチhttps://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190808_01.html
 

 


 
出典:中小企業白書https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/PDF/2019_pdf_mokujityuu.htm
 

  

 

2. 会社の寿命 23.3年

 
・企業の平均寿命 23.3年
・賃金未払い是正指導1,062企業、対象労働者6万5,395人
 

東京商工リサーチの調査によると2020年に倒産した企業の平均寿命は23.3年。この数字は、一生1社で働くのが難しいことを意味している。ということは、最低でも3~4社は転職するくらいのことは、考えた方がよさそうです。特に、情報通信系やサービス関連の事業では、その傾向が強い。
 

コロナの影響でこの5業種はかなり危ない。
・宿泊業
・飲食サービス業
・生活関連サービス業
・娯楽業
・観光業
 
 
✅ 製造業 33.4年
✅ 卸売業 27.4年
✅ 運輸業 26.2年
✅ サービス業他 18.0年
✅ 情報通信業 14.9年
✅ 金融・保険業 22.0年
 

出典:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210203_01.html
 
 
 
賃金未払い問題 ※対象期間:2020年4月から2021年3月まで

厚生労働省が賃金未払いの企業に対しての指導をまとめた『監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)』※によると、2020年に是正指導を受けた企業は1,062企業、対象労働者は6万5,395人。

※不払だった割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめもの。
 
 

 

3. ゾンビ企業が存在する理由

 
日本には本当に358万人のリーダーがいるのか
 

日本には、中小企業が358万社 存在する。ということは、358万人のリーダーがいるということになる。これだけのリーダーが、本当に日本にいるのだろうか。もし本当にいるのであれば、このようなことになっていないはずです。なぜなのか。それは、会社の新陳代謝が行われなかったことによって、淘汰されなければいけない会社が生き残ってしまった。その結果、会社の数があまりにも増えすぎた。つまり、時代から取り残されマネージメント能力がないにもかかわらず、社長をしているケースが存在するということ。この人たちが、万年赤字の原因をつくっている。これでは、日本経済はいつになっても良くならない。
 

 
ゾンビ企業が存在する理由

僕らがまず行うことは、このような企業で働かないこと。働き手がいなければ、自然に会社は廃業となり淘汰される。これで問題は解決なのだが、ところがどこの会社にも雇ってもらえない人のセーフティーネットになってしまっている。労働者としてのスキルが、あまりにも低すぎるのです。誰でもできるような仕事しかできない人は、どうしても行き場がなくなってしまう。雇ってもらわなければ生きてはいけないので、やむを得ず働き口を探し、行きついた先がこのようなゾンビ企業だった。

 

これらの企業は、低賃金で雇用し労基法もまともに守らない、いわゆるブラック企業です。労働基準監督署は労基法を守らない企業に対して指導はしますが、それ以上は何もしないのが実態です。労基法をまともに守ったら、こうした企業は倒産してしまうからです。雇用を維持することが第一なので、仮に明確なブラックであっても指導しただけで済ませてしまう。

 
2000年には経営者の年齢は「50~54歳」20.3%でしたが、2020年には下記のように高齢化が進んでいる。高齢化が進むにつれ、新しいことに挑戦する意欲が薄れていく傾向にある。会社の新陳代謝が鈍化してしまう。
 
「60~64歳」(15.0%)
「65~69歳」(14.7%)
「70~74歳」(14.6%)
 


出典:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220425_01.html
 
 
 
解決策は労働者のスキルを上げること

このようにどうにもならない現状を変えるには、労働者のスキルを上げること。この一点に尽きます。世の中には、給料が高くいい仕事がたくさんあります。しかし、能力が必要になります。付加価値が高い仕事をするためには、能力がなければ雇ってもらえないのです。たとえば、WEB系IT系はいい仕事がいくらでもありますが、その仕事をこなせる人材がいない。空席状態です。スキルを身につけるためには、数年かかり労力を必要とします。かなり大変ですが、これを地道に行っていく。IT系人材の育成は、そう簡単にいかない。
 

プログラミングスクールに通えば何とかなる、と考えている方もいるかもしれませんが、何ともなりません。3ケ月間あるいは半年間、プログラミングスクールで学習しただけでは、ほとんど役に立ちません。しかも、学ぶことが多すぎて、途中で挫折する人が後を絶たない。その結果、慢性的に人材不足になってしまっている。
 
 
 

出典:BBT ビジネスチャンネルhttps://www.youtube.com/watch?v=zhzlMk8cCV8
 
 

 
参考資料
 

生涯賃金(男性の大学卒の場合)
企業規模1000人以上の大企業 3億2340万円
企業規模10~99人の小企業 2億2220万円
 
出典:労働政策研究・研修機構ユースフル労働統計2018

 
 

厚生労働省『令和2年(2020年)賃金構造基本統計調査』で会社規模別平均年収
 

■ 大卒男性/従業員1000人以上企業

20~24歳 352.20万円
25~29歳 481.50万円
30~34歳 591.30万円
35~39歳 704.60万円
40~49歳 784.30万円
45~49歳 867.50万円
50~54歳 976.30万円
55~59歳 943.30万円
60~64歳 610.70万円
65~69歳 509.90万円
70歳~ 569.60万円
 
 
■ 大卒男性/従業員100~999人以上企業

20~24歳 326.50万円
25~29歳 427.80万円
30~34歳 506.20万円
35~39歳 583.40万円
40~49歳 669.60万円
45~49歳 728.30万円
50~54歳 821.90万円
55~59歳 813.30万円
60~64歳 578.40万円
65~69歳 517.70万円
70歳~  532.50万円
 

 
■ 大卒男性/従業員10~99人以上企業

20~24歳 295.50万円
25~29歳 370.00万円
30~34歳 433.10万円
35~39歳 489.60万円
40~49歳 543.00万円
45~49歳 614.90万円
50~54歳 649.20万円
55~59歳 639.40万円
60~64歳 509.00万円
65~69歳 454.30万円
70歳~ 417.10万円
 
 
 

 

まとめ

 

中小企業の経営実態はとても厳しい。中小企業の約7割は赤字で、営業利益も114万円(中央値)ときわめて低い。いつ倒産してもおかしくない。失業するリスクはある。これを変えるためには労働者のスキルを上げること、能力を高めなければいい仕事はできない。中小企業庁によると日本企業全体のなかで中小企業は99.7%です。大企業はわずか0.3%です。この数字から見ても中小企業が日本経済に与える影響は大きい。