コロナ不況 リモートワークでリストラ社員選別、完全成果主義の恐怖

 

 
【目 次】

#1.リモートワークであぶり出される働かない社員

#2.成果物の重み

#3.出社する≠仕事をしている

#4.リモートワークの恐ろしさ

#5.リストラ対象者の特徴

#6.成果に対しての報酬が原則

#7.セルフマネジメントの重要性

#8.リモートワークは優秀な人材を確保できる

#9.コロナ騒動収束後のシナリオ

#10.日本経済と世界経済の見通し

#11.景気回復の道筋

#12.まとめ

 

 
『社内には、リストラ予備軍がたくさんいる。リモートワークで成果を可視化し、仕事が出来ない社員をあぶり出す。会社にとってリストラ社員を選別する、またとない機会が訪れた』
 
『経済活動の自粛が企業に致命的な打撃を与えた。本格的な大リストラを実施する以外に選択肢は用意されていない。コロナは無情にもあなたの味方にならない』
 
『昭和の時代を引きずっているような考え方しかできない社員は、会社にいて欲しくない。時代は、もはやあなたを必要としていない』
 

 

《リモートワークで真っ先にリストラされる社員の特徴》
 ◆ コスパの悪い社員
 ◆ 仕事の成果を出せない社員
 ◆ 時代の変化に適応できない社員

 
 

#1.リモートワークであぶりだされる働かない社員

 
リモートワークと聞くと

  • 満員電車から解放され通勤の負担がなくなる。
  • プライベートの時間が増えワークライフバランスが整えられる。
  • オフィスコストが削減できる。

といったメリットが挙げられる。都内に勤務している場合、片道1時間前後なら往復で2時間、1日のうちに通勤に浪費している計算になります。リモートワークに切り替えればこの通勤時間をゼロにできる。通勤時間が減れば、その分ゆとりができる。1日2時間を自由に使えることは大きなメリットです。1ヶ月に換算すると40時間、1年だと480時間。8時間労働だと1年で60日分にもなります。
 
 
2時間 × 5日 × 4週 = 40時間/月
40時間/月 × 12ヶ月 = 480時間/年
480時間 ÷ 8時間 = 60日/年
 
 
しかし、リモートワークは労働者にとって過酷な現実が待っている。仕事の成果が可視化され、スピーディなレスポンスが求められる。いままで曖昧になっていた仕事の成果が明確にされる。会社にとってみるとリストラ社員を選別するまたとない機会となる。

リモートワークの大原則は成果物を出すことから始まる。成果物を出さなければ何もしていない事と同じになる。成果物の良し悪しが、社員の適正な報酬と直結する。これによって、何も成果を出さない社員をあぶり出しリストラ対象者を決めていく。ついに仕事が可視化される時代がやって来た。リモートワークに対応できない社員は淘汰される。厳しい現実が突きつけられる。新時代の成果主義が始まろうとしている。

 
 
参考)
総務省統計局の2016年社会生活基本調査によると、通勤時間の平均は平日の通勤時間は男性で1時間26分(片道43分)、女性で1時間7分(片道33.5分)。
 

 

#2.成果物の重み

リモートワークは、周りに上司も同僚もいない。誰も見ていない状態で仕事をしているわけです。チャットやメールにすぐ出ないと「サボっているのでは?」と思われがち。見えてないからこそ、成果物の重みが重要となってくる。「ちゃんと仕事しています」と言ってみても、成果物がない状態で話しても納得は得られないでしょう。なるべく早く質の高い成果物を出すことが求められる。成果物を出すタイミングは、実は最初に出した人によって決まる。メンバーのなかで最初に成果物を出すと、しばらくすると他の人が続けて出してくる。遅れて出すとその人は目立つ。これはキツイ。絶えず気にしなければならず、その場で返信もしなければいけない。マラソンランナーのような感じです。トップ集団のなかにいる分には問題はないが、ひとたびその集団から外れると挽回が難しくなる。「スピード感ないね」と言われたら、要注意。
 

リモートワークは想像以上にストレスを生む、精神的疲労は半端でない。リラックスして働くことはできない。問題が起きれば自分で解決しなければいけない。デジタルツールを使って同僚に聞くこともできるが、オフィスにいるような感じで気軽に聞くことはできない。ハードルが高くなるのです。「わからない」を連発すると仕事が出来ない人と思われてしまうからです。次々に送られてくる上司からの指示は恐怖でしかない。予定表はメンバー内すべての人が見ることができる。何も記載していなかったら仕事をしていない、と見られる。進捗状況は逐一報告させられる。在宅勤務は暗い影を働く側に課してくる。質の高い成果物をより早く的確に出さなければ、あなたのポジションはなくなる。成果を出せない社員に高い給与を払う必要はない。これが成果主義の大原則である。
 

ここだけの話だが、履歴が残ることは忘れてはいけない。パソコンの電源を入れた時間、切った時間、メッセージの内容、閲覧履歴などすべてログが残る。デジタルツールはあなたを縛るものです。

 

 

#3.出社する ≠ 仕事をしている

仕事をしない人でも、とりあえず会社に出勤していれば何となく仕事をしているように思える。就業中に何をしているかわからない人でも、特に問題はなかった。しかし、リモートワークになるとそうはいかない。仕事の成果を示す必要がある。何も示すことが出来ない社員は、仕事をしていないとみなされる。今まで仕事をしてこなかった人にとっては、かなり厳しい状態になることは必至。会社に出勤しただけで給料がもらえる時代は終わった。厳格な成果主義へ大転換していく。能力のある若い人に高額な報酬が支払われるのは当然の結果です。20代で年収1000万プレーヤーが続々登場する日は、もうそこまで来ている。

 

総務省の調査によると、6割以上の社員がリモートワークを利用したくないと答えている。50歳以上ではこの傾向が顕著に現れている。また、リモートワークが、許可されたにもかかわらず活用しなかった人が多数いた。ある調査では約9割が「業務が滞るのでリモートワークは活用しなかった」と答えたそうです。リモートワークへの社会的な関心が高まっているにもかかわらず、自らの働き方を見直す絶好の機会を逃している。自己変革できない社員は、社内でポジションを維持することは極めて難しい。

 


 
出典:総務省https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144310.html

 

 

#4.リモートワークの恐ろしさ

あのチャットワーク、すごいスピードで次々を繰り広げられる議論。ぶっちゃけ、日ごろから何も考えていない社員は会話の中に入っていけない。そもそも何を議論し何を解決しようとしているのか、議論の焦点は何か。皆目見当がつかないでしょう。ムダな話は一切されず建設的な意見を求められる。
 

仕事をしていない人は、リモートワークの恐ろしさを良く知っている。だから消極的になる。社内にはリストラ予備軍 [図表1] がたくさんいる。今まではオフィスで一緒に仕事をしていたので、仕事が出来ない人でもチームワークでカバーしていた。ところがリモートワークになると結果が歴然たる差として見えてくる。今まで5人でしていた仕事が3人でできる、と気づく。コストに見合わない給料を支払っていた社員が明確となり給料が減らされる。さらに会社にメリットがない社員はリストラの手段として使っていく。日々の成果がリモートワークではっきりわかるようになることは、リストラ予備軍にとって地獄の苦しみ以外の何ものでもない。ZOOMミーティングに呼ばれなくなったら、リストラ宣告の時期が近いと心得よ。
 

押さえるべきポイントは、リモートワークはムダを削り落とすこと。スリム化が狙いだ。決して付加価値の高い新しい仕事を生み出すものではない。会社はジョブディスクリプションを明確にし成果主義を徹底していくことになる。ここ1、2年は、リストラされた社員で失業者が確実に増える。時代の波には逆らえない、厳しい現実を見ることになる。
 

 

コロナ禍でわかった6つのムダ

「ムダな通勤」
「ムダな会議」
「ムダな出張」
「ムダな業務」
「ムダな残業」
そして、、、「ムダな人材」

 

 
注)社内失業者(予備軍含)
エン・ジャパンの調査によると「社内失業者」は業種全体で23%だった。
(図表1)現在、社内失業状態の社員はいますか?(業種別)
 

 
出典:https://www.j-cast.com/kaisha/2019/03/03351613.html?p=all
 
 

リクルートワークス研究所「働くを再発明する時代がやってくる」によると10年後には1割弱が社内ニート化すると予測している。
 

出典:https://nikkan-spa.jp/1684007/cl200714corona05002graph001

 
 
 

#5.リストラ対象者の特徴
  • コスパの悪い社員
  • 仕事の成果を出せない社員
  • 能力不足で時代の変化に対応できない社員

リストラ対象者を決める際、40代・50代の社員がターゲットにされやすい理由は、やはり給料が高いことにある。これは年功賃金制度による弊害がでている。給料が高い割には仕事の成果がそれに見合っていない。コスパが悪い社員なのです。会社の期待に応えられない社員は、当然リストラ対象になる。さらに、会社は時代の変化に対応して生き残っていかなければならない。今日のようにめまぐるしく変わっていく時代に適応できない人材は、はっきり言っていらない。昭和の時代を引きずっているような考え方しかできない人は、会社にいて欲しくない。これがホンネ。
 

リストラを宣告されても応じなければいい、と思っている方もいるかもしれませんが、もちろん法的な意味において容易に解雇は出来ない。しかし応じなければ転身部屋行きか、もしくは陰湿な嫌がらせが待っている。毎日、転身部屋に通い望まない話を永遠と聞かされる。結局、半年後あるいは1年後辞めざるを得ない状況に陥る。他社で通用するスキルを持っていない人が45歳で職を失ったら、再就職はかなり厳しい。年収は激減することを覚悟の上でリストラに応じる必要がある。
 

内閣府が2019年実施した調査によると中高年(40歳~64歳)の引きこもりが増えており61万3000人にいるという。リストラや人間関係、病気などを理由に退職しその後再就職せず自宅に引きこもってしまう。今後さらに時代のスピードが早くなると時代の変化についてこれない中高年が増えてくるものと考えられる。中高年にとってみると生きづらい時代なのかもしれない。
 
 
※転身部屋とは、早期退職者を対象にした転職支援のための部屋。
 

 
(参考)
45~59歳 再就職に要した期間
0ヶ月  18.8%
1~2ヶ月 27.1%
3~5ヶ月 15.7%
6ヶ月~1年未満 15.2%
1年~2年未満 10.3%
調査:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 2016年4月

 

 

#6.成果に対しての報酬が原則

リモートワークにすると残業代が出ないケースが多々見られる。会社の規定に特に定めているわけではないが、残業申請は認められない。なぜこのような事が起きるのか。
 

リモートワークは、速く効率的に成果を上げることが求められているので、「リモートワークに慣れていないので、普段より時間がかかりました。残業代を申請します」は通用しない。成果に対しての報酬が原則なので、残業代を支払うことを考えていない。時間給という発想ではない。その仕事が5時間で終わろうと9時間で終わろうと、報酬には変わりがない。成果さえ出せればそれでいい。成果と効率が求められる。会社は利益を生み出すために存在します。利益を生み出すのであれば時間にこだわる必要は全くない。定時という考え方はしない。
 

優秀な社員にとっては、リモートワークは就業時間に管理されない環境で自由に仕事ができるメリットは大きい。しかしダメな社員にとっては苦痛でしかない。成果報酬は業務量をより多くこなしたものが評価される人事制度となっていく。当然、仕事が遅い人はサービス残業当たり前の時代が来る。一部の人を除いて長時間労働になっていくのはやむを得ない。他の人と同等の成果を出さなければ給料は減らされる。成果が出なければ評価も低くなる。そして、いずれリストラとなる運命です。
 

法的に残業規制が施行されてから残業時間は減っていった。それによって仕事の成果が下がることを懸念していた。しかしコロナ騒動で働き方が一変した。企業はこの機会に一気に体質改善を図ろうとする。人事評価制度は今よりも成果主義に重点を置きKPIによって生産性が数値化され評価される。成果主義をより一層進め生産性の高い企業へ変革していく。働き方改革では労働者の待遇改善をことさら強調されているが、成果を出さない社員を同等に扱うことはできない。生き残りをかけた戦いが始まろうとしている。
 
 

注)成果主義とは、年功賃金制度と違って個人の能力や成果を評価する人事制度で明確な職務内容を記述してそれにもとづいて評価される。日本では年功賃金制度を採用していたため馴染みが薄い制度です。年功賃金制度は、仕事の成果と関係なく勤続年数が長いとその分が給料にあてられる。若手社員からすると不満や不公平感が生まれモチベーションが上がらない制度となっている。

 
 

 

 

#7.セルフマネジメントの重要性
  • 素早い対応こそ最良のコミュニケーション
  • 活躍できるポジションは自分自身でつくっていく
  • ワークライフインテグレーションの実現に向けて

リモートワークに就業時間という概念は必要ない。定時がなくなりフレキシブルワークスタイルになっていく。そもそもリモートワークに仕事とプライベートの切り替えなどは存在しない。メールやチャットがくれば対応しなければいけない。素早い対応をする人は、信頼関係を築く最良のコミュニケーションということを理解している人なのです。したがって、常にスタンバイ状態にしておくことは今のビジネスシーンに必要不可欠です。

 

リモートワークでは活躍できるポジションは自分自身でつくっていくこと、セルフマネジメントの重要性が増してくる。常に高いパフォーマンスを維持できる環境を自らつくり上げ成果を発揮していくことが求められる。それは自分自身のことだけでなく所属するチームの目標達成にも貢献し存在価値を高めることにもなる。リモートワークでは特に重要な能力となる。自ら主体的に考え行動することができない人にはリモートワークには向かない。それだけ自己管理能力が問われる。
 

ライフワークバランスは時代遅れの考え方です。仕事とプライベートを分けて考えることはとても難しく、分けること自体がナンセンスです。在宅勤務を実施してこれに気づいた人が多くいます。仕事と個人の生活を柔軟にとらえ、個人が充実した人生を得られるように考え方を変えていくこと。個人の生き方や人生観を中心にとらえることこそが幸せである、という観点で「ワークライフインテグレーション」という考え方が登場した。ワークライフインテグレーションとは自分の人生そのものをマネジメントすることに他ならない。

 

 

#8.リモートワークは優秀な人材を確保できる

リモートワークのメリットはこれだけではない。優秀な人材を確保できる。優秀な人材はどこにいても成果をきちんと出してくれる。メンバー間のコミュニケーションもスムーズにでき連携強化をはかり、さらに生産性を上げてくれる。無駄な作業がなくなり効率的に事業を進めてくれる。リモート・コミュニケーション能力に優れている。これからの事業運営に優秀なデジタル人材は必要不可欠。時間と場所に縛られない働き方は、仕事を選ぶうえで重要な要素になってくる。このようなことからもリモートワークはさらに拡大していくことが予想される。
 

リモートワーク先進国のアメリカでは米国シンクタンクGlobal Workplace Analyticsの調査※[1]によると、コロナウイルスを機に2021年末までにアメリカの労働人口の25~30%が週に数日以上在宅勤務を行うことになると予測しており、ビジネススタイルが大きく変わると見られる。米ツイッターは新型コロナウイルス終息後も無期限に在宅勤務を認める方針を打ち出した。またGoogleも2021年6月末まで社員の在宅勤務を続ける方針だという。このようにリモートワークの動きが出てきている。
 

アップワーク社の調査※[2]によると、米国では1400万─2300万人が大都市から転居予定であることが10月29日公表された。転居を検討している世帯のうち41.5%は4時間以上離れた場所に引っ越すことを検討している。高価な大都市で仕事をするよりも、安価で人口が少ない地域で仕事を希望する人が増えそうだ。今後、主要都市から郊外に移り住む人が急増する可能性がある。
 

コロナ禍をきっかけにリモートワークがニューノーマル(新しい常態)の働き方として定着すれることがコロナ後の重要な課題となる。技術革新の発達によりリモートワークがスタンダードなワークスタイルとなる時代はそこまできている。LinkedIn Releases 2019 Global Talent Trends Report によると、フレキシブル・ワークを提供する全世界の求人数は、2016年以降78パーセント増加しているという。また、働く側も72%がフレキシブル・ワークに同意している。このことからもリモートワークが世界規模で導入されるようになっていく。それにともなって優秀な人材の需要も増していく。リモートワークが急速に広がれば人材不足が深刻化するのも必至。

 
 

出典:https://news.linkedin.com/2019/January/linkedin-releases-2019-global-talent-trends-report

 

総務省の調査とLinkedInの調査では、その結果が対照的です。日本がグローバルで戦っていくのであれば、働き方を含めて大胆な改革をしていかないと世界から取り残されてしまう。リモートワークであぶり出された働かない社員の今後は、悲惨な現実に直面することは容易に想像が出来る。

東京商工リサーチの調査(2020年6月下旬から7月上旬調査)によると、現在もリモートワークを実施している企業は資本金1億円以上では約55%、1億円未満の中小企業では約26%だったそうです。継続して実施している企業が低く試行錯誤が続いている。今後導入する企業が増えれば、さらに深刻な事態になっていく。
 
 
出典
[1]:https://globalworkplaceanalytics.com/work-at-home-after-covid-19-our-forecast
[2]:https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-remote-work-survey-idUSKBN27E26X

 
 
 

#9.コロナ騒動収束後のシナリオ

外出や営業の自粛が長期化することにより企業の体力が弱ってくる。経済活動の自粛は企業に致命的な打撃を与えてしまう。政府による緊急臨時交付金を休業補償に充てたとしても、十分とは言えない額である。企業の財務状況は極めて厳しくなることは明白である。
 

コロナ騒動収束後、各社とも経営の抜本的な見直しを行うことが急務となる。収益改善とコスト削減である。最大のコストは人件費なので、雇用に関して影響を受けない会社はほぼない。その際、リモートワークで成果が出なかった社員を真っ先にリストラ対象とします。専門家によるとワクチン完成には早くても12~18カ月かかるそうです。するとコロナが収束するまで少なくとも1年は見ておく必要があります。Xデイは来年2021年。本格的な大リストラが待ち構えている可能性がある。
 

企業はこれを機に雇用形態を変えようとするのは必然と考えておくべきでしょう。つまり、「ジョブ型」か、それとも「メンバーシップ型」なのか。企業はジョブディスクリプションを明確にし仕事に人をつけるジョブ型雇用に変わっていく。ジョブ型雇用は欧米では一般的な雇用形態だが日本ではまだ馴染みがない。ジョブ型を採用することによって正社員の意味づけが変わる。ジョブ型は仕事の成果が明確になるためリストラ対象者を決めやすい。リモートワークを導入している会社は、従業員が効率よく成果を出せる環境が整備されている。個人が組織内で単独で行動しやすい。そのためフリーランスなど外部人材が活用しやすい。正社員は安定を求める傾向があるため、正社員を抱え込むと会社が変われなくなってしまう。組織の新陳代謝をうながすためにも社員の入れ替えは必要不可欠である。
 

こうなってくると正社員と外部人材との境が曖昧になってくる。実質的に外注と同じになるからである。いままでしていた仕事が外注される可能性もでてくる。そうなれば社内でポジションがなくなる。会社は在宅勤務で可能な仕事ならわざわざ社員を雇って仕事をしてもらう必要がないと考える。雇用するメリットがうすれてくる。リモートワークが普及すれば、働く側も会社に雇われる意味を考え直ざるをえない。これは当然の結果となる。
 
 
在宅勤務可能 → 外部委託できる → 社員を雇うメリットがなくなる
 
 
終身雇用が崩壊した今日、いまだにメンバーシップ型だと思っていると痛い目にあう。あるときリストラを宣告されると「社員は家族だ」と思っている人は、かなりショックを受ける。自分の持っているスキルと会社の方向性を日頃からチェックし、違っていれば自分のポジションがなくなると考えるべきだ。この意識が足りないとリストラ宣告で精神的なダメージが大きくなる。成果主義に備えることは必要です。昭和の時代の悪しき企業文化が終わる日は間近に来ている。

 
新時代に向けてニューノーマル(新しい常態)への適応が必至となっていく。そのために重要なのがリモートワークだけで完結するビジネスでなければ業績を維持できないことだ。市場のニーズにすばやく適応できる企業だけが収益を改善できる。コロナの影響で業績が悪化し企業は生き残るためにリストラは、当然実施される。この1年で目に見える成果を出すことが出来るか否かで、人生が大きく左右されると言っても過言ではない。
 

 

注)雇用形態
メンバーシップ型:人に対して仕事を割り当てる、従来から日本で行われていた雇用形態。
ジョブ型:仕事に対して人を割り当てる雇用形態。海外企業では主流の雇用形態。職務記述書(ジョブディスクリプション)で職務内容を明確に定め雇用契約を結ぶ。
 

 

#10.日本経済と世界経済の見通し

世界経済がコロナ不況に陥ってしまっている状態です。IMF(Update January 2021)による2020年の世界経済見通しは世界の経済成長率がマイナス3.5%と予測し、日本においてはマイナス5.1%になると予測しています。リーマン・ショックのときはマイナス5.4%だったので、それに匹敵する痛みを伴う大改革が行われない限り会社の再建は難しい。再び世界的なパンデミックが起きても、会社の経営がゆるがない強固なマネージメントづくりをしようと考えます。その意味においてリモートワークは重要な働き方だと再認識し、さらに大胆な取り組みを実施していくことになる。
 

新型コロナウイルスの感染拡大は企業に深刻な影響を与えた。上場企業の2020年1-3月の純利益の合計が前年度と比べると67.3%減となりコロナの影響がはっきり現れた。航空会社、鉄道会社では軒並み赤字に転落。製造業でも売上の落ち込みは激しい。厚生労働省の調査(9月24日現在)によるとコロナ関連で解雇や雇い止めにあった人数は6万人を超えた。2020年1-6月に早期・希望退職者を募集した上場企業は41社となり募集人数は7千人超えている。昨年の2倍以上となっており、悪化した業績を回復する見通しがたっていない。こうしたことから希望退職の募集がさらに増える可能性が出てきている。

 
専門家によると秋以降倒産ラッシュが起きるとみている。年内にも本格的なコロナリストラが実施される懸念が出てきている。NHKによるとこのままの経営環境が続くと約1年後には60万社以上が倒産の危機に陥る可能性があると推測している。コロナの影響が長引くと深刻なダメージを日本経済に与えてしまう。
 

このような状況からみると大リストラが確実に実施される。昨年のリストラの大きな特徴は黒字でもリストラするということだった。今年は新型コロナウイルスによる減収減益、そして世界的な経済危機から、さらに厳しいリストラが実施されることとなる。リーマンショックをはるかに超える雇用崩壊の波はそこまで来ている。
 
 

参考:上場企業「早期・希望退職」実施状況(商工リサーチによる調査)

■2020年1-10月
上場企業の早期・希望退職者の募集が72社。募集人数1万4095人。

■2019年1-12月
2019年1-12月に早期・希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は1万1,351人。
 

 

 
 

 

出典:IMF https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2021/01/26/2021-world-economic-outlook-update

 

 

#11.景気回復の道筋

コロナショックによる経済の回復は、当初は一時的な需要の落ち込みですぐに元に戻るだろうと楽観的な見通しを立てていたが、専門家の話などを聞くと長期化することが間違いなさそうだ。景気回復への道筋には大きく分けて3つのシナリオがある。そのパターンは、V字型、U字型、W字型である。
 

ところが、このどれにも当てはまらない現象が起きている。それがK字型である。2020年9月の企業の業績を見てみると、業績が強い企業がより強くなり、弱い企業がより弱くなる状況がハッキリ現れている。K字型のように業績が二極化しているのである。

 
 

 
出典:https://premium.toyokeizai.net/articles/-/24719
 
 

景気はさまざまな要因が重なって需要が左右されるてしまうため、どのようなパターンの曲線を描くのか誰にもわからない。永続的な影響を経済に与えビジネスモデルそのものを変えないと、企業が生き残っていけないほどのものなのか現段階ではわからい。革新的なテクノロジーの登場によって経済の仕組みが変わってしまうことも考えられる。最悪のケースは実体経済が収縮することもあり得る。そうなるとコロナ後も給料はますます下落する傾向が続く。

 

経済危機は10年周期でやってくることから環境変化対応力がある企業が事業継続の鍵となる。景気回復への道筋が見えないなか企業は手探りでこの危機を乗り越えていかなければいけない。

 
 
10年周期で経済危機がくる

  • 1991-1993年・・ バブル崩壊
  • 2001年・・・・・ ITバブル崩壊
  • 2008-2009年・・ リーマンショック
  • 2020年・・・・・ 新型コロナ

 
 

 
 

 

#12.まとめ

 
コロナウイルスの影響によって多くの企業が導入したリモートワークは、これまで常識と思っていた働き方を否定し新しい変革の波をもたらそうとしている。日本の労働生産性はOECD加盟国中21位ときわめて低くアイルランドと比べると半分である。日本型雇用形態が崩壊しているにもかかわらず、従来のマネージメントをし続けた。その結果、業務改善が進まなかった。リモートワークが実施されたことにより一気に生産性を向上させる動きがでてきた。社内にいるリストラ予備軍は厳しい現実を見ることになる。
 

オフィスに来れば仕事をしている時代の終焉。出社すれば仕事をしていることにはならない。リモートワークをすることでこの事がはっきりわかるようになった。また、リモートワークは成果に対して報酬が支払われるので、時間給という考え方ではない。したがって残業しても残業代は出ない。成果主義が重んじられる。仕事ができる人とそうでない人の年収の格差はさらに広がる。
 

リモートワークは仕事ができる人にとっては、とてもいい働き方で歓迎されるが、仕事ができない人にとっては厄介なこと。リストラ候補者リストに載ってしまう。会社が黒字でもリストラする時代、安心はできない。スキルがない人の再就職は極めて困難。しかも45歳でリストラされたら悲惨な運命をたどる。リモートワークは、成果が可視化できるのでより一層能力主義・成果主義を加速させていく。年収が増えないなか仕事ができる人にとっては絶好のチャンスが来た。
 

今回のコロナ騒動が収束したとしても元に戻ることはない。第2、第3のコロナが必ず来る。再び同じような危険性の高いウィルスに、人類が襲われることは容易に推測できる。現在わかっているだけで、数百種類の猛威をふるう恐れのあるウイルスは存在する。したがってコロナに強い会社作りをするためにも、ビジネススキームを変える必要に直面している。つまりメンバーシップ型からジョブ型へ働き方がシフトしていく。終身雇用が崩壊しても稼げる人材でなければ企業で働き続けることはできない。コロナ時代を生き抜くチカラが今求められている。そのことがコロナ騒動で明確になった。以前はリモートワークは家庭の事情などでやむを得ず許可していた働き方であったが、ここへ来てその考え方が一変した。リモートワークへの流れは誰にも止められない。コロナ騒動でリストラ対象者がはっきりするのも時間の問題だ。

 

 

(参考)
コロナショック、約1年後には60万社以上が倒産の危機に

出典:NHKスペシャル  “需要蒸発” 急拡大する倒産リスク